たまりば

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多忙主

突然であるが、今回主役を演ずる佐橋飄は、携帯を持っていない。
22歳、そこそこに女の子の扱いも知っているであろう青春男が何故だ?
彼と知り合った当初に、その疑問をぶつけた事があるのだが、その時、彼は「壊れるものが嫌いなんです」なんぞいう回答をしていた。
その時は、なんだか深いし、そっとしといた方がいい過去とかがあっても聞いちゃいらんないしで、それ以上の追及もしなかったのだが、ここに来ていよいよ彼に「携帯を持って欲しい」という者達が私を含め数人現れ始めたので、演助の広岡君と飯を食べがてら彼にもう一度、携帯を持つ気はないか聞く事にした。

私「飄はさ、相変わらずアレなの?携帯は要らない派なの?」
飄「はい」
私「そっか。でもさ、必要じゃないの?」
飄「いいえ」
私「何故、必要じゃないの?」
飄「では、何故必要なんですか?」

横で聞いている広岡くんは黙って飯後のデザートを食っており、応戦する気も無さそう。
私も私で、こんなに真っ直ぐな携帯電話社会への疑問に答えられる(真っ直ぐな)回答を持ち合わせていなかったので、この日も、彼に携帯を持たせる決意をさせる事を諦めるに終わった。
考えてみれば、確かにこの飄という男は、今まで何かの約束を破った事など一度も無く、劇団の連絡事項も必ず頭に入れ、きちんと役割をこなす誠実な男だったではないか。
ごめん。ごめんよ、飄。私はこれからも、携帯を持っていない君を信じ、もう二度とこんなつまらない質問はしない。だから主役頑張って。

そんな事があった、その日の夜は、例の相手役、鈴木樹生から今度はこんなメールが届く。
「お疲れっす!いやぁ〜、まさかのまさかですわ!!オネーチャンズは全員ブス、のり悪い。金払い悪いの最悪3拍子そろっちゃってやんの!!ばかばか豚みたいに食って、どくどくカッパみたいに飲んで、怒髪衝天の思い!まぁ、怒りの素として芝居に使えそうだからいーけど♪」

・・・こいつは稽古後、合コンに行っていたのだ。

一方で、携帯を持たない主役に期待し、毎回アホなメールを送って来る相手役に心が救われている私。
こんなアホな鈴木も、昼休みに一緒に歩いていた所、赤信号で車にひかれそうになっているご老人を全力ダッシュで助けに行っていた。から、きっとアホなだけではないのだと思うのだけど。

先週の稽古は、参加人数こそ少なかったが、こんな人々に囲まれ、こんな人々の人間性に助けられながら、唯一の子役である少年に、割と厳しい演出を午前中につけた。
よくぞ泣かないその姿にキュンキュンしながらも、顔はクールを保ち、どうにか彼に演じてもらいたい役のバックボーンと、本番への希望、稽古への在り方を伝えたのだが、これはこの日の私の一つの達成であった事を記しておく。
その後、幾場面かの読み稽古と、物語のクライマックスになる二場面のミザンス(動き・立ち位置)をつけ、やはり芝居は稽古に来た者の勝ちであるという事を強く感じたりした。
並行して、この日は朝も早よから8時間、鳥子姐さんとDammyBouz氏が曲を作っているとの事で、今、その時間、この芝居の為に動いてくれている力がある事を一時も忘れまいと思った。

皆、忙しい。
心も体も。
超忙しい。
どうか半笑いで。

多忙主
妊娠8カ月のママ友が遊びに来た。大きいお腹が愛しい。待ってるよ、赤ちゃん。



  • 2010年10月18日 Posted byIKUMI at 17:04 │Comments(0)稽古

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